「三つも棟があるなんて聞いてねぇぞ」 クラスを出た最初は鼻歌を歌いながら歩いていた優人が、今は走っている。 「確かC棟にあるはず」 午前中、先生が 「津波が来た時はここに逃げなさい」 と言っていたが、その時の優人は睡魔と闘っていたおかげで、先生が指している場所を見ていなかったのだ。 優人は急いで階段を上る。