「いないんじゃねぇの?」 呆れた福田は優人に話しかける。 だが、優人は返事もせずボタンを押し続けた。 ────ピンポーン。 辺りは静寂に包まれているせいか、インターホンの音だけが鳴り響いた。 福田は堪らず優人の手を止める。 「おい、もういいだろ!」 「あぁ……」 振り向いた優人は泣いていた。 静かに涙だけがこぼれ落ちていた。