時は春。


きれいな桜の木があちこちに咲いている。




「優人(ゆうと)早く出てこい!おいてくぞ」


朝から俺の名前をうるさく呼ぶのは親友の杉原恭介(すぎはらきょうすけ)である。


小学校からの親友であり、小学校から学校に行く時はいつも誘ってもらっている。


恭介の背は俺と同じくらいでスポーツ体型で、髪は坊主頭である。



「ちょっ、ちょっと待ってくれ」


優人は二階から恭介に叫ぶ。

「ったく、毎日毎日同じ台詞だよなぁ優人は。少しは学習しろっての。なぁ憂美(うみ)」

恭介は横にいた女の子に話をふった。


女の子の名前は小林憂美(こばやしうみ)。


恭介より背が小さく、細身な体型である。
髪は恭介とは対照的であり、長い黒髪をしている。