『一命はとりとめた。手術は成功したし大丈夫と思う。ただ…』


『ただ…なに?』


『フロントガラスで頭部をかなり強く打ってるみたいで出血もひどかったんや。もしかしたら後遺症が残ったりするかもしれん』


『後遺…症?』


『あぁ…まぁ経過次第なんやけどな』





話を聞いていくとこういうことだった。



手や足のように目に見えてすぐ治療できるものと違って、人間の頭部や脳にはいくつもの血管や細胞があって未だに未知な部分がたくさんあると。



だから検査だけでは分からないことも多くて、あとは運みたいなものだって。



何の後遺症も残らない人もいれば、半身不随になるような人もいるらしい。





でも…大丈夫だよね?


あたしは自分に何度も言い聞かせた。



絶対…大丈夫に決まってる。





とりあえず命が無事ってことが分かったあたしは、千春さんに迷惑かけちゃいけないと思ってまた病室に戻った。