数年経てば、町並みは変わる。

それが田舎に郊外ショッピングセンター登場ならば最強で、地域を一掃し改革してしまう。


のどかな田んぼが埋め立てられ道路を整備され、

車道脇にはガソリンスタンドやらホームセンターやら回転寿司やら百円均一やら、

大手チェーン店が構えられ、衰退が嘘のように活気が溢れて、

排気ガスに包まれ町内以外のよそ者が家の前を通るようになる。




数年経てば、人間は変わる。

懐かしのメンバーに面影を探す方が無理な話で、大人しいと言われたアイツがめちゃくちゃイケメンに変化したり、

ヤンキーをしていた奴が凄く真面目な風貌になっていたり、

ギャルと呼ばれていた子が意気がって磨きがかって痛い方になっていたり、

あの船場がささやかに痩せていた代わりに、スリムなアノ子が少々ふくよかになっていたり、

中には不老不死なのかまるっきし変わっていない例外もあったが、

思春期における数年は、とてつもなく大きかった。




数年経てば、人は変わる?

この決まり文句が正しいとすれば、

懐かしのメンバーに触れた際に、なぜ初恋がびっくりするぐらいあの少年をほしがるのだろうか。

穂ノ香には分からなかった。