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初恋は叶わない、よく誰かが口にする。

本当にそうだと頷いた。


振られていない片思いの記憶が頭を浸蝕するのは、

頑張ればどこかに希望があると諦めきれない往生際の悪さを、数年越しの純愛だと言い換える神経が所以だと思われる。


恐らく真剣に嶋を好きだった穂ノ香だけれど、転校してすぐに初恋を丁寧に閉まった。


メールアドレスだって知らないから手軽なメールができないし、住所だって分からないから手紙だって書けないし、

接点がないなら頑張りようがなかった。


――――あの日から時間ばかりが過ぎた。


取り柄が他人に害を与えず誰かに従う彼女にとって、数少ない友達の亜莉紗からではなく、

機械的に委員長だった船場名義で同窓会の知らせが届き、

気は乗らないが久しぶりなので、参加することを決めた。



若かった、一言で片付けられるならどんなに楽だっただろう。

とりあえず田舎で良かったと思ったのは、過疎でたった三組しかないため、

同窓会イコール学年集会となり、一年生二年生三年生、中学時代の皆がクラスの垣根なく揃うところだ。