「練習する意味あるのかな」

「夏休みなのに最悪」

「ラジオ体操のがマシくない?」

「来週から塾の合宿なんだよね」

悪ノリ男子や垢抜け女子など騒がしいグループが不在のことから、

華がない中途半端メンバーたちは皆のびのびとサボっている。


不思議な話で、彼らは所持金が硬貨しかない自慢をするチャラけた軍団が同じ空間に居る場合、

目立たないように振る舞うか、イエスマンになるばかりかで、

同級生なのに遠慮して、ぶつかることを避ける傾向が強いのだけれど、


そんな彼らが、昨日寝てないアピールが趣味の中学生らしいキラキラ青春を歩けているのかは微妙だが、

やはりどの道を選ぼうが、結局十年後二十年後に懐かしむ未来には、確かに青春となっているのだろう。


「もう、皆ちゃんとしてください」

船場が鼻の穴を広げて怒っているのをぼんやりと眺めつつ、

三組ではアイドルが口パクだと言われがちだが、根拠はないも彼女たちは歌っているはずだと穂ノ香はぼんやりと思っていた。


なんでもそうだった。
三年三組は何かしら薄情でつまらない。

なぜならバラエティー番組は、どうせヤラセだと言い夢を壊し、

ドキュメンタリーは、所詮偽善だと笑い感動を崩し、

そのようになんでもかんでもクラスの皆は一生懸命さを否定し批判をする色が強いためだ。


そんな風に皆と同じ感性になりたくないはずが、なぜ穂ノ香は三年三組に不満を抱き酷評したがり嫌ってしまうのか、

その矛盾が自分でもよく分からなかった。


ただ、可愛らしい恋がしたいだけだったのに、夢は夢のまま遠のいていく。