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晴れか曇りか雨かなど、天気は毎日律儀に記入しなくとも、インターネットで過去を遡り簡単に調べることができる。

課題なんて答え合わせと称し写せばなんとかなる。


夏休み期間の文化祭練習は各クラスの自主性に任せられており、

三組の場合は真面目な子と学校に来てもサボる子だけで、ちっともうまく進まずにいた。

皆お喋りをして嶋はよく分からない曲を弾いて、とりあえずバラバラだった。


休みの日に早起きして集合しようが誰も得をしない。

一回も目が合わないから、穂ノ香は三十秒に一回は盗み見をすると、心臓が浮く感じがする。

いつも周りに馴染まない独特のオーラを放つ彼は、片思い中だと騙せば凄く素敵な人に思えた。




「てか夏祭りにチューしちゃった!」

「うっそ! おめでとー!」

白が校則なのに夏の陽気にテンションが上がったのか紺ソックスを履いているキャピついた女子による会話は思春期らしい淡さがあるのに、

穂ノ香にはやっぱり次元が違ったから、うまく想像できなかった。


中学社会には、恋愛をしていい子と恋愛を許されない子が存在するのだと思う。

そう、イケメンや美少女なら好かれて喜ぶだろうが、そちらに当て嵌まらない人間に一方的な想いを寄せるなど、

意中の人からすれば罰ゲームにならないとは言い切れない。


つまり、自分のレベルに相応しい恋をして、身の丈にあった異性を選ばなくてはブーイングが起こる点を配慮すれば、

ゴーストがあだ名の女の子には、オカマちゃんがニックネームの男の子が一番しっくりする片思いであった。