しかし、去年の三年生たちは例外で、バラエティー豊かだったらしく、

先輩たちオリジナルの脚本を思い出せば、活発な男子が女装したお姫様モノや、

普段堅物の担任がショボイ絡み役の不良を演じるモノ、

少し毛色は変わるが、可愛い女子が浴衣を着ているただただ可愛いだけの昔話モノなどは、

意外と掴みはオッケーで、評判は良かったように思う。


それから、本気演技は会場との温度差があるため、出オチの見た目がギャグなキャラクターをたくさん投入することが定着していたようだ。


過去には、漫才をしたりラインダンスをしたり、三年生らは舞台を使って青春をしていたらしいのだが、

劇にしろ何にしろ穂ノ香のクラスだと小さく終わるのだと思えば、彼女は最高に陰欝だった。


委員長の船場が困ったように教壇に立っているが、誰も意見を出さないからまとめようがないらしい。

高校で離れ離れになる中学ラストだとしても、人生で一番思い出したい時間になるイベントだとしても、

一生懸命に張り切る子はダサくて恥ずかしい痛い人間という認識の教室だと、

学級会の進行を無視して雑談で妨害をする奴が、ファッショナブルな方だと地位高く捉えられてしまっていた。