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光を集めて銀色に反射し眩しい雲が流れる上には、一体何が隠されているのだろうか。

空を空と一言で終わらせようが、その空の裏側にある景色が気になってしまう悩める穂ノ香だ。

合唱コンクールから数週間、最近は木々の影が濃縮され、よりくっきりとアスファルトを舞台に踊るのを目にするようになった。


彼女が通う中学は、夏休み前から秋にある文化祭に向けての準備が始まる。

よって、普段はDVD観賞やテスト自習に費やされがちなロングホームルームを使って、今は出し物を決めることになっていたのだが、

相変わらずキスの数が武勇伝だと信じるメンバーが集うクラスは白けていた。


一年生はモザイクアートやら巨大ロボットなどの展示物、

二年生はお化け屋敷や巨大迷路などの遊戯系、

三年生は自主制作映画やお笑いコントやビフォーアフター変身ショーなど体育館の舞台を使う出し物と決められているも、

先輩たちの流れから最高学年は劇を選択することが無難だった。


ちなみに、オリジナルシナリオはなかなか勇気が必要で、クラスでしか通用しない身内ネタの披露宴だと、

観客との温度差がとんでもないことになり、だだ滑りの悲劇となりがちなので、

シンデレラやかぐや姫、全員が起承転結を知っている使い古された作品が消去法でベターなようだ。