青春時代は部活にしろ勉強にしろ友情にしろ恋愛にしろ、
何かしら頑張っても頑張らなくても、どちらにせよ思い出した時には淡く切なく痛くさせる余韻を人生に残していく。
そう、明るい高笑いを出しても暗く存在を発しなくとも、どちらも変わらず尊い記憶となるのだ。
教育に熱心な保護者が見守る中、無事終了した合唱コンクールの会場では、
普段なかなか姿を見せない無駄話が好きな校長先生が表彰をしているところだった。
「準優勝は三年一組と一年一組です」
「優勝は二年二組です!」
おめでとうとか素晴らしかったとか感動的なアクセントをつけて渡される記念品、
壇上には委員長が代表して清々しい顔を披露し、それを新聞部が一生懸命デジカメにおさめていた。
賞状を貰うクラスは強弱やハモり方など確かに上手だった。
けれど、穂ノ香の中では嶋のピアノが一番で、あの嶋が笑えない三年三組であることが申し訳なくなってしまう。
何も言えずに好きだという気持ちを隠すしかできない恋心がもどかしく、
中学最後にちっとも今を味わえないメンバーと同じクラスになってしまったことを怨みたくなる。
プリーツが乱れるくらいスカートを握りしめた――――その時だ。
「校長先生! 頑張ったで賞は当たり前に三年二組ですよね?!」



