卒業アルバムに閉じた思い出は嘘だらけだ。
頑張らないと何も変わらない。
告白ができないまま転校し、中途半端に失恋を引きずるから、感情がくすぶったまま先に進めないのだ。
このもどかしさは三組のせいにして努力を怠った罪だ。
笑っていたのは昔の自分に今の自分に。
「……馬鹿みたい」
階段を降りる今、穂ノ香がもう振り向くことはできない。
自分に言い訳ばかりをして何も進化しない恋だった。
文化祭、笑顔が溢れた世界は久しぶりで嬉しかった。
嶋と目が合った最後の日――
ただ好きでいるだけの恋だった。
最後の最後、穂ノ香にしか分からない優しさで助けてくれたのは、隣のクラスの子供臭い人だった。
きっとまがい物の恋が嘘を破った瞬間だった。
〓保身に走れ!
〓おわり