保身に走れ!



「なー、本当船場さんウケるよな。あやうくジイ様とバア様に堕胎されかけたデキ婚の俺なんかに惚れるとか、船場さん見る目なくてウケるわー。

俺はのぞまない妊娠の結果ですからね?、ふ、どんな茶番脚本よ。ウケるわ。

知らないだろ、父さんと母さんむちゃくちゃ仲悪くて生活最悪だったらしいからな? 人生何があるか分かりませんね?、あはは。

まあ、あれだ。デキ婚を授かり婚って言える日本って素晴らしいよねって話だわ、だって準備ナシよ? 虫歯の治療しやんのんかいって誰かツッコめよ。ふ、あは。

まあ、船場さんは関係ない。じゃあな周防さん。周防さんは速やかに福岡で博多ラーメン食べてくださいな。俺は子供にありきたりな昭和ダサい読める名前をつけるよ」



ぺらぺらと一方的に喋るお調子者は、涙袋を含まらせ、面白くてたまらないといった調子で微笑んでみせる。


普通、現役高校生をしているならば、誰かをイジり陥れた上で仲間と爆笑するのがベター。

しかし、彼はなぜ相手が期待している返しとは異なる自分を落として誰かを持ち上げる発言をするのだろうか。


社交的な人間は相手のツボに合わせて、オチを決めるのだから、

この場合、お調子者は船場を侮辱し穂ノ香の要望に応えるべきだ。


なのに――