センター試験前なのに同窓会?
センター試験前だから同窓会?
真夜中の鉄棒みたいな風が街中を襲って、太陽を飾った空の下に音楽を作り出す。
キャップがオレンジ色のペットボトルの売上が好調な肌寒い季節は、何かしら恋をしたくなる。
シワ加工された細身なグレーのジャケットを革のブレスレットが覗くよう腕まくりしているとか、下に着たTシャツが黒色の無難さとか、
ブーツーの上でもたつかすもスリムめなデニムの濃度とか、
カジュアル好青年ファッションの感じが似合う黒髪とか、
頑張った気配ゼロの普段着臭いところがオシャレだと思うし、狡いと思う。
この人の隣が似合うのは誰?
嶋の私服を見たことがないため、彼の右側に誰が相応しいのか想像もつかない。
自分からすすんで話せないプライドが高く臆病な穂ノ香が、ついに唇を動かした。
「っの、あの、さ!、船場さんってキモくない? 大変だよね、中学ん時告白されたんでしょ、嫌な奴から好かれてもさ、迷惑だよね?」
断トツで嫌われている船場が居るから下手にイジられずに済んだ彼女の青春は、
言い換えれば、自分を護るためにはダルマの噂話に共感することに一生懸命だった。
「船場さん痩せたつもりらしいけど全然デブいし、まだダルマだよね! ウケる!」
困ったように頷くか、一緒になって悪口を言うか、
三年三組みたいに最下位グループの生徒は生理的に無理だと笑ってほしかった。
なのに――――



