保身に走れ!



誰も追いかけてきやしない。
居ても居なくても変わりない。

それはまるで卒業文集の何でもランキングトップ5――『早く結婚しそうな人』『頭が良い人』、

『オシャレな人』『仮病が多い人』『モテる人』『運動が下手な人』『音痴な人』――人気者だろうが嫌われ者だろうがキャラクターに関係なく、

誰でも一つはランクインする項目があるのに、一つも名前が載らない心境に似ていた。


穂ノ香にとって、誰にも注目をされないのは、生きていても死んでいると同然だった。

皆に腹が立った。
お調子者は意外と軽いオンナに引っかかるし、嶋は来ないし、船場は船場だし、なんだか皆に苛々した。



  つまんない

  ……亜莉紗とかあのデブ亜莉紗じゃん

  高校デビューの癖に
  なんで皆仲良くしてんの

  変なの、へん


階段を一降りると、心を象るジグソーパズルが一枚めくれていく気がした。