数年経てば、親友は変わる。
数年経てば、想いは変わる?
十八の穂ノ香は十五の穂ノ香のまま嶋が好きだった。
目眩く高校生活は楽しいかとか、進学校なら成績の調子は良いかとか、
新たな環境で恋人ができたかとか、時給何円のアルバイトを始めたかとか、
順番でマイクを回すカラオケの最中に語り合う話題は尽きなくて、
デジカメや写メを片手に約三年ぶりの再会に盛り上がるのは、キラキラ輝く集団だけではなく、
大人しくて目立たないグループの子たちも、それなりに和気あいあいと親睦を深めているようだった。
けれど、途中で転校した穂ノ香はついに透明人間となったのか、
特に話しかけてもらえる機会がなく、本当に居場所がなかったため、
ドリンクバーではしゃいでいる連中の目に入らぬようフロア中ほどを足速に通り越し、
非常階段までネガティブに勢いよく逃げた。
有線チャートが踊る廊下を、お昼ご飯を運ぶ店員がパーティールーム目掛けて忙しそうに駆けていく。
ひきとめられないどころか、早退したことさえ気づかれやしない自分の存在感のなさが、
穂ノ香は恨めしかった。
本当は亜莉紗みたいに変わってみたかった。
けれど、悔しいからそれを隠し、亜莉紗は調子に乗って痛いなと頭の中で嘲笑ってみた。



