かつての親友にシカトされ、他グループらのお喋りの輪に入れない穂ノ香は黙って俯いているだけだった。
わざわざ新幹線代叩いて福岡から遥々神戸まで来たというのに、
再会の場に嶋が居ないならば何も意味はない。
それに――……
「あの二人、付き合ってたんだよね」
「別れたらあれか、話さないんだねー、意外」
穂ノ香の中で特別視していたお調子者の元カノが、『デキ婚ってイケメンだから全然できる』と、
授業中にぺちゃくちゃお喋りをしていた派手さしか取り柄がない女子の一味だったことが、
なんだかショックだった。
見る目がないと呆れた。
同窓会にうんざりした。
自分なんかが一人抜けたところで青春に何も支障はないだろうから、
地味で大人しい少女はトイレに行くふりをして、独りで帰ることにした。
そう、中学を卒業して高校生に進化するとピカピカ可愛い現役ガールになれるなんて、
冴えない穂ノ香には都市伝説に過ぎなかった訳だ。
それもそうだろう、本人は分かっていないが彼女は周りに比べて全く努力をしていないのだから。
学年で見てもキラキラしている人とどんよりした人のツーパターン、過去の親友は違う世界の住人になってしまっていた。
確かに同じ惨めさを共有してきたはずが、彼女にはそんな過去が見えなかった。



