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いつも一人で白けた顔をしていたため、

思春期にありがちなキャラクター設定『性格が悪そうな奴』だと一方的に決めつけてからは注目をしていなかった。

まさか好きになるなんて考えたことさえなかったのに、恋心が誕生する瞬間は理解できない。



『見てみ、超能力』

もしも彼が小学生だったなら、

ムードメーカーの男子が給食用フォークを念力だと称し怪力で曲げた時、

爆笑が起こる教室で、唯一表情を崩さない冷めたお子様だったのだろう。


なんとなく苦手だった。
なぜかという理由を考える前から合わないタイプだと結論づけ、

暗に彼を避けていた。


それが友達の輪を広げられずにいるコミュニケーション能力がない自分の欠点だなんて、

わざわざ知る必要もなかった。


いいや、穂ノ香は同級生に比べノリが悪い己のつまらない性格を認めたくなかったのだ。


なぜなら、男女問わず人望のある子が皆揃って明るい内面をしている事実、

それを理解してしまえば、

結果、暗い彼女は学年で最下位グループだという現状は、あまりに残酷でプライドが許せなかったためである。