「お前をずっと待ってたのにな。」


「え...?」


不意打ちで言われた言葉に少し胸がキュンとした....。


「で、今日はお疲れ様。お前は学園祭誰かと回るの?」


「いや....特にはいないけど....。」


私はそう答えると、葵はすっと私に近づき片膝をついて手を差し出した。


「じゃあ俺と一緒に回らない?」


私でいいの?


ブサイクで何もない私で....。


ただ遊びたいだけじゃないの....?


まぁ...遊びたくもない容姿だけど。


「私でいいの?」


「俺はお前と行きたい。花火大会みたいにな。」


ほんとに…?


葵を信じてみようかな…。


私はゆっくりと葵の手をとった。


なんか今の葵って王子様みたい....。


ふざけてやってるのに妙にしっくりくるんだけど...。


「よろしくね...?」


少し赤くなった顔を葵から背けた。


だけどすぐに葵の方に向かされた。


「だけどみんなにどう言い訳するの?学園祭は知り合いだらけだよ?」


「言い訳なんかする必要ないだろ?それともユリは俺と回るの嫌なのか?」


少し切なそうな顔をした。


そんな顔されたら...。


「い、嫌じゃない....。」


嫌だなんて言えるわけないじゃん....。


「でも、話したことのない他の女から反感を持たれるのは嫌なんだろ?」


すごいお見通し。


私を見通せるのは夏菜と玲央しかいないと思ってたのに....。