桜井さんに案内された部屋は机が輪を描いて並んでいた。


中に入ってそれぞれ座った時、


「じゃあ私は移動します。話の方はお任せいたします。」


と、ローゼ様が席を立ち、出て行こうとした。


「かしこまりました。」


うやうやしく桜井さんがお辞儀をし、その横をローゼ様と国松さんが通っていった。


「ではごきげんよう。」


そう言うと、ローゼ様は帰っていった。


なんかカッコイイ...。


だって、美人で優しそうな感じだし、スラリとしたスタイル....。


しかも、すごく秀才らしいし....。


さすが、学園長!って感じ。


.....でも何でここに連れてこられたんだ?


まだ聞いてなかったよね。


っていうかこの屋敷って誰の家?


お構いなくグイグイ中まで入ってきちゃったけど.....。


不法侵入で問われない?


あっ、執事さん出てきたからそんなわけないか。


「あの...桜井さん?」


「私のことはそんなに丁寧にお呼びにならなくても構いませんよ、お嬢様。」





...『お嬢様』...!?





「あの...なんで『お嬢様』なんですか?」


桜井さんに聞いてみた。


玲央が横からからかってくると思ってたけど、そうでもなかった。


「それはそのままの意味です。奥様がいらっしゃるまでもうしばらくお待ちくださいませ。」


「そう....。」


そのままの意味って....。


説明になってない!


暇だから周りを観察してみることにした。


夏菜は、自分が座っている椅子を観察し始めていて、玲央は眠そうな顔をしている。


桜井は自分のノートを出している。


桜井って...カッコイイかも?


年は20歳くらい?


すっごく若い。


“何でも完璧にできる執事”っていう雰囲気を出している。


なんか.....玲央に似てるような.....??


気のせいだよね。


だけど同じ苗字だしな....。


でも、桜井ってそんなに珍しい苗字じゃないからたまたまかな?