「高澤くんが...。これってもらえるの?」


「はい。」


「ねぇ?一着違うデザインの服が入っているけど。」


「え?」


「ホントだ。あ!手紙つきだわ。」


「秋本さん宛ね。はい。」


「ありがとう。」


表には文字がない。


まだ残暑が残る9月に紅葉柄の便箋だ。


「とりあえず男子も来て。ホストスーツも入ってるから。」


そう。


男子はホストなんです!


葵も着るんだ!


嫌がっていたけど私がお願いしたら一瞬でOKしてくれた。


さっき葵と別れたのは葵に学園長室に連絡を聞きに行ってもらうためなの。


「じゃあ皆さん。今から20分くらいで着替えてください。更衣室は指定の場所です。」


クラスの人に取り敢えず一声かけたから良しとするか。


「夏菜。私は委員の特権で1人で使える更衣室持ってるからそこで着替えてくるね。」


「あぁ....あれね。わかった。」


ホントは委員の特権じゃない。


学園長の....シルバー様のご配慮だ。


私はある理由で大勢がいる場所では着替えられない。


それは夏菜も知っている。


誰に会話を聞かれているかわからないから委員の特権なんて言ったけど....。


私は教室を夏菜に任せ教室にある階段を使い、指定の部屋に移動した。


ちなみに私はそこに行ったことがない。




「ここでいいよね....?」


なんせ部屋が多すぎて不安になる。


だけど誰だろ…?


封を切った。


「なんだ葵か…。」


でも葵って結構キレイな字を書くんだ…。


内容は....。





“ユリ


この手紙は今は1人で読んでいるよな?


結構重要なことだから覚えておけ。


お前は命を狙われているかもしれない。


学園長から聞いた。


ホントはお前に言うなって言われたけど黙っていられなかった。


でも気にするんじゃない。


俺らを...玲央や浅井たち...俺を頼れ。


いいな?


それと、お前用に一枚違うデザインの服を作らせたからそれを着ろ。


命令な。


葵”






い、命を狙われている!?


私なんかしたっけ....?


で、今はそんなことより命令?


私だけデザインが違うのを着れと。


目立つの嫌いなのに....。


しかもこの服スカート丈がめっちゃ短いじゃん!!


お腹がヤバくて、足太いのに....なんてことしてくれるんだ!!




その時メールが来た。


“ユリどこ?試着終わったよ。”


おっともうそろそろ行かなきゃ!


私は廊下を走った…。