「ねえ葵様!!」


葵のすぐ横にいたお嬢様が葵に言った。


「花火大会どなたと行かれたの?私見たんですの。」


「あぁ....。ゴメンそれは言えないかな....。」


女の子が絶対ときめくような笑顔で答えていた。




葵....?


それは私のこと?


それとも私以外の人とも行ってたの....?


なぜかは分からないけど、とたんに胸が苦しくなった。


「ユリ....?どうしたの?顔面蒼白だよ....?」


「え...?何でもないよ。」


「もしかして気にしてるの?あの子の言葉。」



当たり。



幼なじみには隠し事は出来ないようだ。


ここは話題を変えるしかない。


「ところでさ....」


と私が言いかけたところで、安藤先生が入ってきた。


「みなさん。お久しぶりです。さて。
学園祭ですがどなたかこのクラスから実行委員を引き受けてもらえないでしょうか?」


急に入ってきて早速要件を持ち出したか.....。


先生も強気な姿勢できたね....。


「......。」


やっぱ誰もやらないか....。




裃の学園祭の話は前に一度聞いたことがある。


ここは、知っての通り生徒会などという生徒が運営する機関がない。


この学園は一部の人間によって運営されているから。


でも、それだと学園祭だけはさすがに準備が大変すぎる。


ということで、クラスの男女1人ずつ選出し学園祭を行うことになっている。