「葵って何で来たの?」


「歩き。ここから20分くらいに家があるから。」


わりと近かったんだ。


今の家は周りに敷地の広い家が多い。


だから葵もお金持ちなんだろうな。


「葵?最近思うんだけどね。呼び方...王子様とかじゃダメなの?」


急に葵は後ろから私の耳に顔を近づけた。


「いや。お前にだけは名前で呼ばれたいから。」


な....。


なんか私の顔が赤くなった気がする....。


私、男の人とこんな距離で話したこと無いんだよね。


なんか怖くて。


でも葵はむしろ落ち着く感じ。


「ユリ、顔が真っ赤だな。」


「言わないでよ。恥ずかしいんだから....。」


なんか付き合ってるみたい。


私は葵に遊ばれてるだけかもしれないのに。


葵と………クラスメイトとしても並べるだなんて思えなくて。


私はもともと人見知りする上に人を信じることが出来ないところがある。


葵を…………信じてもいいのかな。


隣にいても………並んでもいいのかな。



そんなことをずっと考えていたら、いつのまにか花火大会の会場に着いた。