“今日今年初の花火大会だろ?”


あ!


私の町ではだいたい夏休みが始まるくらいに花火大会がある。


秋本グループっていう大財閥が主催なので花火の規模がデカイことで有名なんだ。


“お前、俺と行かない?”


一緒に行ってもいいの....?


“行きたい!”


“じゃあ俺が7時に迎えに行くな。”


やった!


...って7時まであ4時間しかないじゃん!


「お母さーん!どこ?」


「何?大声出すなんて恥ずかしいからやめて。」


隣の家に聞こえるわけでもないのに....。


「すいません。あのさ今日花火大会行くから、今から準備するね。」


「分かった。じゃあ理央。キレイにしてあげてね。」


「畏まりました。」


夜が楽しみだ!





お母さんはまたどこかの部屋に消えていった。


「お嬢様、少し移動しましょう。」


「うん?」


どこに行くんだろう....?





着いた部屋は......。


「浴衣....?着物....?水着.....?」


「今夏最新のデザインを用意しました。」


「これ一体....どうしたの?」


「奥様が揃えていました。ここから選びましょう。」


そう言うと桜井は指をパチンと鳴らした。


ーガチャ


え?


誰か来た?


「お嬢様、お初にお目にかかります。この屋敷でファッションデザイナーをしているものでございます。」


と、名乗った人と目をキラキラさせたように見えるメイドが何人か入ってきた。


「お嬢様をよろしくお願いいたします。では、お嬢様、私は外で待機しておりますので、何かあればお呼びくださいませ。」


一礼して桜井は部屋を出て行った。


それから私はこの人に任せてしばらく着せ替えごっこをしていた....。