ーコンコン


「開いてる。」


高澤くんの声、久しぶりに聞いたな。


「すいません。秋本です....。」


「遅かったな?」


呼び出しといて遅いはないでしょ!


「ちょっとシルバー様に会って....。」


「あぁシルバー様か。それならしょうがねぇな。」


「で。用事は?」


急に顔が真剣になった。


「最近元気無かっただろ?心配してたから呼び出した。」


「教室に来てなかったのになんでそれを.....。」


「入試学年トップの特権でな。授業に出なくても良いってのがあるんだけど。教室にモニターが設置されているから、それを寮のTVに繋げば授業を受けれるから。」


「へぇー。そんな特権が。」


「お前も利くけど?学年5位までの特権だから。」


「私はしばらく使わないでおくね。説明はされてるんだけど、一応それは期末が終わってから本当は使えるやつだから。」


特別に使ってもいいと説明会の時に言われたけど、しばらく使わないでおこうと決めていた。


「お前、1人で来いって言うやつ守ったんだ。」


「だって!!1人で行かないとここに来たことばれちゃうじゃん!」


「来たくなかったのか?」


「えっ?…。」


薄ら笑いから急に寂しそうな顔になりドキッとしちゃった…。


「べ....別にそんなことないから。用がないなら帰るから。」


ここにいると恥ずかしくなる。


私は部屋に戻ろうとして高澤くんに背を向けた。


「ユリ。」


え....?


今私の名前を呼んだ....?


「なんで名前知ってるの?」


「それは言わない。」


もう....びっくりするじゃん。