不気味な黒いバラは7月に入ったとたん、届けられなくなった。


「...。それも何か不気味ね....。」


「でもなくなったから良かったって思ってるよ。だってなんか寝られなくなったんだもん。」


「頼りになれなくてゴメンね。」


「気にしないで!」




ちょうどその時、担任の安藤先生が入ってきた。


「おはようございます。」


「もうそんな時間なんだ。」


夏菜はそう言って隣の席に座った。


私は何気に部屋を見渡すと、ひとつ空いた席があった。


誰の席だろう?


あとで聞いてみよっと。


「ユリさん?聞いてますか?」


ぼーっとしていると思われたのか、安藤先生が声をかけてきた。


「えっ.....?あっ....はい。」


全然聞いてなかった....。


「まあいいわ。それではホームルームは終わりにします。皆さん授業に行ってください。」


先生は出ていった。


「夏菜?さっきの何の話?」


「えっとね....。学園祭についての。」


そういえばこの時期にあるって聞いたことあったな。


「で?」


「内容を話せって?面倒だから、桜井に頼んで?」


「その手があったか....。じゃあ後でいいよね。」


学園祭かぁ…。


何するんだろ?と考えていた時。


-ピロン


メールだ。


誰?


えーっと.....高澤くん?


「誰?」


夏菜が心配そうに私の顔を覗き込む。


「高澤くん。」


“俺の部屋に来い。今から。”


なんで??


だから男子フロアは入れないって!!


“もし来なかったら、俺と2人で会ったこと全校にばらすぞ?”


え....。


それだけは.....。


“.....わかった。できるだけ早く行きます。”


はぁ。


お嬢様達に言われたら後が恐いし。


仕方なくだよ仕方なく。


「夏菜....。」


「わかった。私は大丈夫よ。玲央がいるから。」


何も言わずに察してくれた。


夏菜に心でお礼を言いながら、後ろにいた桜井のところに行った。


「桜井。私、ちょっと授業休むね。寮に戻るから。」


「かしこまりました。」


そっと耳打ちし、急いで校舎を出た。