ーハッ


私は急に目が覚めた。


何秒とかからず足音を立てずに桜井がそっと近づいてきた。


「どうなさいましたか?お嬢様。………お顔色が少し優れないようなのですが。」


「ごめんなさい....。大丈夫よ。ただ眠れなくて。」


大したことないよね。


執事でも余計な心配かけたくない。


「少し独りにさせて....。」


「かしこまりました。」


桜井は私の寝室を出た。





落ち着け落ち着け....。


なんかの夢よ。


気にするな。


そう心に言い聞かせる。


でもだんだん嫌な予感がしてきた。





「桜井。入っていいわよ………。」


「お嬢様。外にこんなものが。」


寝室にはオレンジのライトしか点いていなかったので少し明かりを点けてみる。


よく見るとそれは黒い薔薇だった…。


「なにこれ.....。黒い薔薇って....。」


見たことない。


造花でもなさそう………本物だ………。


「私もよくわかりません。お調べしましょうか?」


「ホントに?じゃあ....お願いします....。」


軽く頭を下げて私はまたベッドに入った。


不気味に感じる出来事。


深夜2時の話だった。



私はただただ嫌な予感しかしなかったんだ....。