「ひとつ聞いていい?今この中に知り合いは何人いる?」


「え?え....いないよ。私が名家の令嬢だって知ったのは3年前。私はまだパーティーとか出たことないから。」


「そうなんだ……。」


「おまえら、何さっきから立ち話してんだ?」


あっ。


まだ席着いてなかった……


玲央はすでにお嬢様方に囲まれていてお疲れ気味だった。


「玲央……。ドンマイ。」


「私とユリは席着いてるよ。」


「たまには救えよ、俺を。」


どこにいても、玲央ってモテるんだな……。




「そういえば。何で夏菜は席知ってたの?普通は先生に紹介してもらえるよね?」


「先生が私たちを紹介していた時に、後ろにいた梶原が合図してくれたの。」


「そうなんだ。で、さっきから周りがうるさいんだけど…。」


パッと振り返るとお嬢様に囲まれた玲央がいた。


「どうしたの?」


「俺の席ここだから。」


そう言って私の横の席に座った。


玲央の横の席なんてもう何度もあるから別にどうでもよかった。


だけど、後ろのギャラリーから一瞬だけ聞こえてきた言葉があった。





「いよいよですわ。......様。私は精一杯敵を報告いたします。」


敵?


何それ??


肝心を~様を聞きそびれた。


転校初日にして嫌な予感。


その日の授業は適当に流していた....。





今はまだ知らない。


この予感が当たる日が、少しずつ近づいていることが....。