お嬢様の秘密

-莉依紗side-


静かな部屋に電話の音が響き渡る。


「私がでます。」


「いいえ、結構よ。相手はわかっているから。」


電話の相手はたぶん沙那よ。


「はい。沙那よね?」


「お姉さま?電話に出るの珍しいわね。」


「何か言いたいことがあるんでしょ?」


「今部屋に誰もいない?」


「いないわよ。強いて言うなら雷也くらい。」


「雷也なら大丈夫よね。」


沙那は急に声を潜めた。





「今ユリを学園から呼び戻して.....。お姉さまはいつ話すの?ユリの様子ではまだ何も分かっていないじゃない。」


「話す必要がないから話していないだけだけど?」


「玲央のイギリス留学は屋敷の奥にある部屋で本人から話してもらったわよ。」


「そう......。で、何?夏菜に話すから学園長室を貸してほしいってことを言いたいわけ?」


「え.....?なんでわかったの?」


「本人から1週間前に電話がきたの。今日国松に校舎の入り口へ迎えに行くように手配したわ。」


「用意がいいのね.....。流石はお姉様。」


「今日は仕事が立て込んでいるからまた後でね。」




-カチャ





「奥様.....。話す内容はそれだけでよろしかったのでしょうか?」


「いいわよ.....。だって長く話すと盗聴されるんだもの......」


定期的に盗聴器を確認しているけど不安は消えていないし。


「また、検査しておきます。」


「よろしく。では一旦部屋から出ましょ?もうすぐ来るはずよ。」


「かしこまりました。」


私も実家に帰ろうかしら?


そういうわけにはいかないのが学園長なのよね.....。



-莉依紗side end-