少しふざけながら夏菜と学園一の桜の名所に来た。


2年に1回は一般公開をしてるんだって。


と言ってもほとんど知られていないし、ごっついガードマンが立っているからあまり庶民は来ないけど。


「やっぱ綺麗だね....。」


今この時期はちょうど満開。


思わずため息が出ちゃう。


ヒラヒラと舞う桜の下で静かに和んでいた。


そういえばこの学園の桜って咲くのが早いな…。


まだ卒業式終わってないよ?


たしか明日だったっけ……。





「いろんなことがあったね.....。」


ゆったりとした空気の中、夏菜がふとつぶやいた。


「まぁ....ね。でもクラスの人とはあまりなじまなかったね。」


「そのほうがいいんじゃない?」


「なんで?やっぱり出身柄嫌われてるの?!」


「.....(この鈍感少女!みんなあなたと話したがっていたわよ!!)そんなことないわよ。」


「なら良かった....。夏菜に相談すると安心するね。」


夏菜は嬉しそうに微笑んだ。


「ユリの力になれるって嬉しいね。」


見惚れるような綺麗な笑顔を見せてくれたあと、急に口をつぐんでしまった。


「...夏菜?どうしたの....?」


夏菜が思い詰まった顔をしているのはあまり見ない。