吉崎さんが部屋を出て行くと急に部屋の空気がシーンとなった気がした。


「なあユリ。俺が言ったこと覚えているよな?助けたら言いたいことがあるって。」


「うん………。」


葵は私との距離を詰めた。


そして………私と目線を合わせた。




「言うのも気付くのも遅くなってゴメン。




俺はユリが好きだ。………ユリだけが。俺と付き合って。」





え………?


すごく真剣な眼差しで私を見てきた。


「お前なんで泣いて!………そんなに嫌だったか?」


あれ………泣いてる………。


葵がそっと………遠慮がちに溢れた涙を拭ってくれた。


「違う………違うの!私も葵が好き。あの事件の時………ずっと葵に会いたいって思ってたの。

寒い中閉じ込められて足が動きにくくなっても生きていられたのは………葵なら私を待ってくれているって信じれたからなんだよ?」





やっと………伝えられた。





「だから私と付き合ってください。」


「よかった。告白が成功して。」


ニヤッといたずらっぽく笑った葵に私は思わず照れて葵に抱きついてしまった。


「もう………。」


少し上を見上げたら葵の顔が………赤くなったように見えた。


「もしかして………照れてる?」


「うるせー!俺に抱きついたってことは。」


私が何か言い返そうとした時。





葵が私にキスをした。


触れるだけの………優しいキスを。


突然のことで私はびっくりしてしまった。