「お前にバレるとは思ってなかったな。」


「兄貴は意外とわかりやすい。………ガキの頃から兄貴を追い越せるように頑張ってきたんだ、少しの変化くらい見分けられるようになった。」


兄貴は苦笑した。


「お前はいいのか?」


「何を?」


「イギリス留学。特に自分の考えを述べていないじゃないか。」


確かに....。


俺が考えていたのはユリのこと。


密かにずっと守っていた大事な幼なじみだし。


でもそれより....。






「イギリス留学はしょうがないから呑んでやる。」


俺は思いを伝えたいんだ。


ユリと並ぶ大事な幼なじみに。


ユリと同じくらい守りたいと心から思う大事な親友………に。





「じゃあな。また後日。ちなみにお前が行くまで誰にも言うなよ?俺ら執事家の情報もバレたら困るしな。」


軽い挨拶で兄貴はパソコンを切った。


“誰にも言うな”か………


兄貴。


俺がそんな簡単に約束を守るやつだと思うか?


あいつらはきっと俺が隠し事をしてたらすぐに見抜くぞ。


そんなとき俺はきっとどんな秘密でも話すかもしれない。


だけど。


約束を守る忠実性も必要だよな....。


兄貴の慎重そうな声が耳に残って消えなかった。



-玲央side end-