「そういや兄貴は今なにやってんの?」


真理亜の話題はどうしても避けたくて話を変えてみた。


「会長様...。旦那様のところで執事をやってる。」


「あそこって執事の中でもかなりのエリート組が仕えてるだろ?」


「あぁ。俺なんてぜんぜんひよっこだよ。」


「兄貴が!?だってSランクを早々取得したんじゃ………」


「俺もまだまだってところだよ。」


俺なんか………もっと頑張らないといけないな。


「兄貴を呼び寄せたのって………」


「そう。ユリ様の近況を聞いたり、お前や学園長も様子を報告するため。あと、真理亜様もな。

大きな目的は後継者の象徴となる俺を手元に置いて争いを止めるためだ。」


「なるほどね....。」


旦那様は後継を誰にしようとしているんだろう....。






「玲央。」


しばらくの沈黙があったところで兄貴が話しかけてきた。


「俺はもうすぐしたら普通にこの学園に戻ってこれるはずだ。今、俺がこの学園にいたら生徒が危険な目に会いやすい。あのわがまま姫様のせいでな。」


「それは承知してる。」


「お前が知っている限りのお嬢様の秘密は絶対にバレないようにしろよ。玲央。」


兄貴は俺に強い視線を投げかけてきた。


俺はその目に応えた。


「分かってるよ、兄貴。」






「じゃあな。俺はそろそろ持ち場へ戻るから。」


クールフェイスの兄貴の笑った顔をみるの初めてかもしれない....。



-玲央side end-