葵がドアを開けた。


「おはよう。ユリ、体調は優れた?」


入って早々、夏菜が声をかけてくれた。


「おはよう....。少しは良くなったかな?」


少し夏菜に微笑みかけた。


しかしいっぱいいるな....。




ふと壁に目を向けた。


今は....2月!?


そんなに時間が経ってたの!?


目を見開いて放心してしまった。


何が起こるかわからないこの学園で、なんて呑気な行動をしていたんだろう。


だから私は拉致される....。




「ユリ。久しぶりね。」


この声は……。


「お母さん……。」


夏休みぶりだな…。


でも何でここに?


「ローゼ様から聞いたのよ。」


私の心を見透かしたみたい。


「昨日急いできたらもうすでにあなたは寝てたわね。」


お母さんの目にはすこしクマができてる。


雷也さんもちょっと疲れぎみだ。




「ユリ、夏菜には話しかけるのに俺には何もなしかよ?」


「玲央……。」


拉致される前もあんまり話していなかったな……。


女の子が周りに集っているところにいきたくなかったのもあって。


「辛気くさい顔すんなよ。」


少し苦笑した。




みんな……ありがとう…。


改めて感謝の気持ちを胸に留めた。