約束の時間くらいかな?


今は夕食を食べ終わったあと。


夕食を持ってきたのは美穂で、扉の鍵は閉めて行かなかった。


お膳の上に手紙が乗っていた。


『理央は恐らくいなくなる。食べ終わったら出てきて。』


なんで理央がいなくなるって言い切っているのかは分からないけど、とりあえず言われたとおりに部屋の外に出た。


ホントにいなかった。





ヒタヒタ………。


この音は……。


「ユリ……。いるの?どこにいるの……?」


とても小さな声。


意外と地下は響かないようだ。


「ユリ様…。お迎えに上がりました。」


この声は美穂の声?


私のこと様付けしてたっけ?


「みんなどこ…?」


ーカチッ


パッと明かりがついた。


気づかずに廊下の電気をつけてたみたい。


その時。



「ユリ?ユリだ!」


「夏菜!!」


私に向かって駆けてくる夏菜。


「無事だったんだね!信じて良かった…。莉依紗様を信じて良かった……!」


ガバッと私に抱きつき泣いてしまった。


「ありがとう!夏菜。来てくれて…。」


顔をあげ、美穂に微笑んだ。


美穂も微笑み返してくれた。


今思えば、自然な笑顔をみせてくれたのは初めてだったかもしれない。


とてもきれいな笑顔だった。