俺、ユリのこと....。


意識してないだけで相当好きだったんだろうな....。


近くにいたら分かんない事って遠くに行っちまったらどうして分かるんだ?


これならもっと早く告っとくべきだった....。





気づくの遅すぎなんだよ....。





自分にあきれる。


「ねぇ?高澤君....。」


一緒に歩いていた浅井は俺から何か感じたようだ。


見通したような透き通った目で俺見つめていた。


浅井は急に玲央に電話し、人の気配を強く感じるほどになったので誰も来ない茶道室に移動した。


さすがに鍵は持っていなかったので畳の前に立っているしかなかったが。


誰もいなかったとはいえ、茶道室っていう選択がなんとも浅井らしい。


「ここなら誰も来なさそうだな。」


「そうね.....。先の教室は他のクラスが使う予定があったみたいだわ。」


最近全く笑わなくなった浅井が少しだけ苦笑いを向けてきた。


「気をつけてね。大事な物を失わないように....。」


「はぁ?何だよそれ。」


「分からない。冬休み中に言われたの。占い師やってる親戚のおじさんに....。」


「それでお前は勘が働くんだな。親戚筋か。」


「そんなことはどう………「葵様!!」


浅井の言葉を遮るようにして真理亜が話に割り込んできた。


なんでだ?


話を聞かれないようにわざわざ回り道してきたのに...。


コイツいったい誰に聞いてここに来たんだよ?


しかも執事なし。


真理亜は俺の腕に絡めて密着してきた。


「邪魔ものはいなくなりましたわ!これからずっと一緒にいられますわね!」


「お前誰に聞いてここに来た。」


眉ひとつ動かさず低い声で脅した。


そんなもの効かないことは分かっていたけど。


「あら?誰にも聞いていないわよ。私の手にかかれば人1人くらい探すのは容易ないわよ。」


妖艶な笑みを向けてきた。


なんだよ、コイツ。


いつもとキャラ違うのを完全に出してきてるし。


浅井は目を鋭くしていた。


「お話がありますわ!今日の授業を楽しみにしてくださいね?」


俺からぱっと離れると自ら車椅子を動かして出て行った。


「なんだよアイツ....。」