-葵side-


冬休みが開け、俺は学園に帰ってきた。


本当はユリと2人でクリスマスを迎えたかったんだけどな....。


この学園に戻ってきたが助けられなかった悔しさが積もるだけだ。




「葵様。大丈夫でしょうか?顔色が優れないようですが。」


「あぁ、大丈夫。大したことはない。」


まぁいい。


俺はチラッと肩の金色のバッチを見た。


俺は学年1位でSランクという特権がある。


それを使って部屋で授業を受ければいい。


それでも初日は行かないとまずい。


「行くか....。」






それでも教室には行かず、寄ってきた女をうまく巻きながら人気のない廊下の空き教室でボーッとしていた。


「高澤君。」


控えめだが、妙に凛とした声だ。


俺のことを君付けするのは....。


「浅井か....。」


「うん。ゴメンね?ユリじゃなくて.....。」


そうか。


こいつとユリは幼なじみだっけ?


相当悲しいんだろうな....。


「お前とユリは幼なじみなんだろ?」


「え?何で知ってるの?この学園でそのことを知ってるのは数人しかいないのに....。

昔そのことを知られていたせいでユリがいじめられてたのを後から知ったことがあって、広まらないように徹底してたのよ。」


「理央兄に教えてもらったような気がする....。俺らがいる場所は人が来ない場所だからいいが...。そろそろ行こうぜ。」


「そうだね。」


ユリのいない教室なんて暇すぎる....。