「ユリは知らなかったのかもな、夏菜の兄のこと。夏菜の兄は会社を継ぐために生まれて1年経ってからイギリス行ってるから。

たしか、帰ってくるのは、7~8月の2ヶ月と、12月の1ヶ月だったよな?」


「うん。玲央ってめっちゃ詳しいね....。」


「俺は1度だけ見たことあるからな。」


じゃあ………


「玲央の家は?何かあるの?」


すると、玲央は一瞬桜井の方を見た。


だけどすぐに目をそらして私の方を見返した。


「俺ん家、すっごい普通なんだけど。夏菜ほど自慢できるわけでもないし。」


そういえば最後に玲央の家に行ったのって10年前だったかな。


正直言うとどんな家だったか覚えてない。


「そっか.....。ねぇ?桜井、もうひとつ聞いていい?」


「何でしょうか。」


なぜか桜井は少しびくついていた。


「ローゼ様って、どこの家の方?」


「さあ.....。聞いたことがないので....。」


でもそう答えた桜井の顔はなんか辿たどしい。


「そっか。ならいいや。
私、本当は家柄とかあまり興味ないんだけど知っておいた方がいいのかなって....。」


だってどっかのお嬢様とかいるんでしょ?


必要以上に変に刺激したくないもんね。


「大丈夫ですよ今は。それよりもう暗くなりましたよ。」


「うわっ!もう6時だ!そろそろ帰らせていただくね。」


「わかった。」


夏菜と玲央は桜井に送ってもらった。


2人がいなくなったあとは急に静かになりちょっと寂しくなった。