「変な友情もこれで終わりね。」


美穂さんは紐の先をガソリンの水溜まりに垂らした。


「私はまだ死にたくないの。」


そう言い口角をニヤッとあげた。


「じゃあね。」


火をつける瞬間。






「おねがい!みんな逃げてーーー!!!」






ボワッ!






火の勢いが強く私は倒れた。


「....ゴホゴホ....。」


幸い私は火からは5メートルほど離れていた。


でも....たぶん逃げられない。


しばらく拘束されていたせいで歩くことすらできない。






ん?


なんか体が重い....。


「あ、葵.....?」


「無事で良かった....!」


葵.....。


こんな迷惑かけてばっかの私を救ってくれてありがとう…。


葵の顔は少し煤かぶっている。




「逃げるぞ。」


「みんなは?」


「恐らく無事。学園長がユリを頼むって。」


「ごめんね。でも1人で逃げて。」


「は?何言ってんだ!」


いつもの優しい顔が嘘のように怒っている。


「葵は逃げられる。....逃げて。これ以上迷惑をかけられない。」


「誰が迷惑だなんて言ったか?俺はお前が必要なんだよ!


…………要らない存在なら命をかけるわけないだろ!!」



ハッと目を覚まされた気分になった。


最期に好きな人からそんなことを言ってもらえて嬉しかった……


私の死に場所がこんなところになるなんて。


葵は生きてなきゃいけない。


素性は知らないけど、この学園にいる限り、相応な家柄だし。


でも最期は笑わなきゃ。


「じゃあね。葵。また会おうね!そのときはちゃんと言おうかな....。」


「…何を?」


「秘密!また会うときまで待ってて。」


私は葵を安全なところに連れ出した。


「じゃあね!早く逃げなよ!」


自分でもありえないほどの自然な笑顔を葵に向け、私は葵を火足がまだ進んでいない安全なところへ押しやった。


ーボワッ


また火が大きくなり始めた。





「ユリ..………!戻ってこい!」






寒い寒い12月の終わり。


本当はあと3日で恋人たちのお楽しみ。


クリスマスだった.....。