「理穂....。あなたに逃走資金を渡すわ。だから逃げなさい。」


「えっ.....。どうしてですか?」


私の低い声に戸惑いを隠せない様子。


私が思っていたことと違うことをされて喜ぶとでも思ったのかしら。


「あなたに隠し事は無理よ。このままだとバレるのは時間との勝負じゃない?」


「しかし....やったのは陽菜ですけど....。」


「黙って!私の言うことが聞けないの?」


「わ、わかりました.....。」


よし。


これで、理穂を捨てなきゃいけないなんて.....。


しょうがないわね.....。


「あとは姉に後処理を…....。」


「そう?勝手にして。じゃあよろしく。」


電話を切った。


だけど幽閉の件は何とかしないと疑われる。


学園長からはすでに疑われていると思うけど。


葵様は私と同じ権力を持っているといってもいいお方。


私の家の後継問題にも一言意見を入れられるほど。


.....こんなことで引き下がってられないわ。


ーパンパン


いつもより荒々しく手を叩き、私の従者を呼んだ。


「ジャック!計画するわよ。この件の片付けを。」


「かしこまりました。」


ここでなんとかしましょう。


私に言わずになんて勝手なことをしてくれたのよ。


もうちょっと賢いやり方をして欲しかったものね。


それに....。


あの子ぐらいあなたたちの手を借りなくても処理できるわよ。


ちょっと予想外のユリの図太さに戸惑ってはいるけど....。


-真理亜side end-