お嬢様の秘密

「俺、今無理。ここは奥様に頼れ。」


「は?何でだよ。」


「旦那様のお呼び出しで社長室にいる。向かうのに時間かかる。」


「....分かった。」


何か言いたそうだったが一方的に切った。


「玲央はただ報告したかっただけなのか?」


「どういう意味でしょうか?」


「報告だけなら別にいいのだが....。玲央はお前に頼る性格ではなさそうだな。」


「そうですね....。しかし弟との仲はあまりよろしくなくてですね....。」


「ある意味そのほうがいいな。いつまでも兄貴に頼るようでは良い執事になれぬわ。」


何よりも私たちの分まで考えてくださる。


昔はよく相談してもらったものだ。


「第1だろうが第2だろうが主人を思うことに何も関係ない。.....この台詞は私の執事の嫁が言っておった。」


お婆様のことか.....。


お婆様は優しいだけじゃなく意思がしっかりしてる芯の強い人だった。


「今はお前が第1執事だがこれは知っての通り決定ではない。まだ後継者も決めておらんからな。」


だから真理亜様が旦那様が最終決定する前にお嬢様を消そうとする。


まず俺を手元に戻そうとしている。


俺は後継者の象徴みたいなものだからな。


俺だって出来ればモノみたいに扱われたくはなかった。


「お前は学園に戻れ。孫娘を頼むぞ。」


しっかりと。


力強い目線で言われた。


「かしこまりました。」


それに応えるように恭しく礼をした。


ーパンッ


旦那様が御手を叩かれると社長室の扉が開いた。


俺は急いで学園に戻った。




-理央side end-