「嫌な予感はしたのよ。今日、私の家にちょっと曲者がね。」


苦笑いをしている奥様。


「でも気にしないで、夏菜さん。あなたを責める人なんていないわよ。ねぇ?玲央。」


「もちろんでございます。責める理由などございません。」


シルバー様の前できっぱりと言い張ると、夏菜の表情は少し明るくなったようだ。


「さっき出張から帰ったからモニタールームを覗いていたのよ。そしたら理穂さんとユリさんが話してて....。あなたたちはそのことは知ってたのね。」


じゃあ安田ってことか?


兄貴は一体何やってるんだ?


「今安田は..。」


「分からない。この学園全てに防犯カメラがついているわけじゃないから。」


ということはついてないところが怪しいよな....。


「ついてないところを教えてもらえますか?」


すると奥様は急に鋭い目付きになった。


「それは無理よ。学園に子供を送っている親の信用を裏切ることになる。信用性がものをいうのよ。」


「じゃあどうすればいいんですか....!」


夏菜は半泣きになっている。


「これだけは教えてあげる。半径1キロ以上。大丈夫私も捜すから。」


そう言うと奥様は指をパチンと鳴らした。


「えっ.....?親父!?」


「訳は後で話すから。竜也、話は分かるわよね?」


「はい。」


「ではよろしく。」


親父は奥様に一礼し部屋を出ていった。


「私たちも捜すわよ。何かあれば私に連絡して。」


「かしこまりました。」


俺も一礼し夏菜と部屋を出た。




「行くぞ。」


「シルバー様に連絡って....。どうやって?」


「ちょっと携帯貸せ。」


奥様...。


夏菜なら教えてもいいよな?


俺は一瞬迷ったがすぐに情報を移した


「何かあったら、俺に連絡しろよ?」


「うん。」


俺らはすぐに別の方向に別れた....。



-玲央side end-