-真理亜side-


今日は清らかな朝という感じだった。


あまりに久しぶりにスッキリ起きられたからなんとなく嫌な予感がする。


「お嬢様、お目覚めですか?おはようございます。」


「おはよう。」


あら?


ジャックの様子がいつもと違うように感じるのだけど……


「お嬢様。お伝えしたいことがございます。」


当たりね。


やっぱり言いたいことがあった。


「ジャック、お構い無く言ってみなさい。」


「ユリ様が自分のお気持ちに気づかれました。」


それは....。


「理央に対する?葵に対する?」


「葵様にございます。」


葵様といえば.....。


私の家と並ぶほどの大財閥。


不動産、デパート、出版...。


高澤財閥はすべての分野に手を出しているといわれているほど。


日本経済を動かしていると言っても過言ではない。


そんな人に釣り合うのは…………。


この私でしょ?


さらに後継者の象徴である、桜井家の長男でありSランク執事の理央まで私から奪っていくし。


あの親子は....最低ね。


今までの我慢が一気に爆発したような気がした。


散々私を傷つけてきた報いを....。


私はベッドのそばに飾られている赤いバラをそっと手にとった。


「ジャック。あなたは控えめにしておきなさい。私が自分の手でやります。」


「かしこまりました....。」


フッと軽く吹いたらバラは綺麗に散っていった。


「あなたもこうなるのかしら………?」





-真理亜side end-