お嬢様の秘密

-葵side-


「ユリの奴、大丈夫か?」


ポツっとつぶやいてみた。




高い靴って言ったけど、他の女よりは低いな。


5㎝くらいか?


親父に何度も聞かされた女の観察術結構当たるな。


しかし。


正直あの足で踊れると思わない。


かと言って他の女と踊ろうとも思わない。


この学園は当日の怪我は認められないからな...。


俺の周りには女が群がっていたが上手く巻けた。


それぞれエスコート相手を作っているはずだから、今日だけは追いかけ回すなどはしないだろう。


「葵様。もうまもなく始まります。」


ドリンクを運んできたウェイターがそう教えてくれた。


ちなみに俺は今、パーティー会場に来ている。


1階の先頭。


俺の家が結構でかいから学園長に続く席に座っている。


この開場は10年に一度、1年をかけて作り直される。


だから今年建てられたばかりまだかなりきれい。


学園長が俺に近づいてそっと耳打ちしてきた。


国松さんは学園長室でもしもの時のために留守なのだそうだ。


「葵?ユリさんは?」


「ちょっと怪我しまして....。」


この場において誰が何を聞いているのかわからないから理由を今言うわけにはいかない。


それはシルバー様もわきまえているので取り乱すことはしなかった。


「え?でも、出さなきゃいけないしな....。誰よ!変なルール作ったやつ。」


隣の学園長はものすごく悩んでいる。


どうしてそこまで...?


「俺がカバーしますので。」


「ホントに....?じゃあよろしくね。」


学園長の笑顔は花のよう。


年齢を感じさせない。


うわ....。


変なこと言わなきゃ良かった。


有らぬ期待をされてもな....。


といまさら後悔する俺だった.....。