お嬢様の秘密

その時。


フワッと体が浮く感じが....。


思わず目をつぶってしまった。


恐る恐る開けてみると…。


葵にお姫様抱っこをされていた....!


恥ずかしすぎる....。


「じゃあしっかり捕まれよ。」


葵って身長高いからいつも見てる景色と違う。


ってそんなの考えてる場合じゃない!


めっちゃ心臓鳴ってる....。


「着いたぞ、馬車んとこ。」


「葵様。ユリ様。お乗りください。」


葵は軽く会釈して馬車に乗り込んだ。


私を抱いた体勢で....。


馬車担当の執事(だと思われる)は前の馬のところに乗り込み、そのまま走らせた。




中は私と葵の2人っきりな訳で。


「ねぇ葵....。降ろして?」


「嫌。ってかお前怪我してるし馬車あの様子じゃ初めてだろ?馬車って何げに揺れるから足に負担かかると思うぞ?」」


「そんな....。気にしなくていいのに....。私、重いから疲れるだけだよ?」


「全然重くないんだけど。」


はぁ....。


なんか何言っても降ろしてくれなさそう....。


だけどどこか心の中にこの体勢がいいって気持ちもある。


「着きました。」


速い....。


といっても20分は乗っていたのか....。


「ユリ?歩けるか?」


「分からない....。とりあえず桜井に手当てを頼んでみる。」


「じゃあとりあえず降ろすぞ。あとでな。俺ら役員は入場は最後だから。」


「うん。居場所はメールでね。」


抱っこしてもらったお礼に、葵に満面の笑みを向けた。



私はそのまま医務室へ。