「稀ー莎!
久し振り~ ごめんね 待たせちゃって」


すまなさそう顔をして右手を顔の前までもってきて謝る友人の姿に懐かしさを感じ思わず頬が緩むのが分かる。


「大丈夫よ そんな待ってないから」


「マッタク オソスギヨ
カエルトコロダッタンダカラ」

「「…紅遊未(くゆみ)」」


声真似をしたいのか普通の声より若干声を低くさせあたしの背後から喋る紅遊未。


「えー…超似てなかった?今の声」


「全然 全く 1ミリも似てなかった」


「あたし そんな低い声なの?」


ひょっこりとあたしの背中から顔を出し眉をハの字に下げ残念そうに言う紅遊未にスパッと言い放ちながらあたしの正面の席に腰かける紀碧(のあ)。

次いで左隣に座る紅遊未にあたしは呆れた表情で話す。


「またまた~…ホントは似てたでしょ?」

「「全然」」


先程、似てないと断言されたと言うのに尚も得意気に言い直す紅遊未に対し、声を揃えてキッパリ断言するあたしと紀碧だった。



「ごめん!遅れた!
待たせたよね 何か頼んだ?」

「お疲れ様
私も今来たところなの」


息を切らしながら、長い黒髪をかきあげすまなさそうに席に着く奥菜に紀碧はフォローするように言う。


「全員揃ったことだし、さあ、今日は飲むぞー!!
みんな何飲む?」

「テンション高っ
何か良いことでもあったの? 私取り敢えず生で」

「あれ?全員って・・・紅友稜(くゆり)は?」


全員揃ったと言う声に疑問を持ち、首をかしげるあたしにふふふっと顔を緩ませる紅遊未に奥菜と紀碧も顔を見合わせる。