『――セキュリティー起動ッ!!不法侵入者は排除ッ!!…って、えぇえっ!?全セキュリティー突破ッ!?おいおい、待てよッ!!この処理速度は――ッ!!』
『白兎ぎぃいっ!!いい加減目を覚ますのですぅううっ!!!』
『ったく、お前なぁ!!いきなりハッキングすんなよ。無理やり認証させやがってッ!!ふざけんじゃねぇよっ!!』
『白兎ッ…よかったのです。ううぅっ…もう目を覚まさないのかと思って…ッ』
意識が途切れると同時にパンドラ内へ精神移行が行われ、膨大な情報量の中を浮遊していた。
そんな中、無理やり精神世界に体をねじ込んできた眠りネズミに、ありったけのセキュリティーを起動したというのに全て完封されてしまう。
黒羊の中でもオリジナルと呼ばれる彼女は、最高峰の処理能力を誇っている。
俺やアリスはパンドラ内のサーバーに記憶情報を格納されているが、彼女だけは特別仕様だ。
パンドラの人工知能と連結しているため、処理自体の性質が違うのだ。
『あと、耳元でぎゃあぎゃあ騒ぐな。肉体的には植物状態でも、声は聞こえてるんだ。情報としてこっちに送られてくる身になってみろ』
『帰えるのです。ウィルが…アリスに会わせてくれるのです。だから…ッ』
『…俺、アリスに会ったんだよ。アイツは今、帽子屋の下で動いている。その上、ハートのジャックともお友達らしいぜ。帽子屋が父親だって教えたら、ぴーぴー泣き喚きやがったんだ。その上、信じないの一点張り。ハートのジャックに結局撃たれて、運ばれていったぜ?』
『そ、んなの…ッアリスに限ってそんなことないのですッ!』
『じゃあ、見せてやるから自分の目で確かめろよ』
人工知能は数百年に渡り修正と再構成が繰り返された為、情報を格納している筈のサーバーがブラックボックス化していた。
それを安定させ、処理する目的で生み出されたのが眠りネズミらしい。
人工知能と互換性持たせる事に成功し、パンドラのシステム内を縦横無尽に走り回る事が出来る。
データ処理の為だけに生まれたような眠りネズミは、俺のサーバー内を弄るのもお手の物らしい。
何百億を超えるデータの中から正しい記憶を引っ張り出し、展開させた。
