独:Der Alte würfelt nicht.

 
 
「ア…ア、アリス…ッなのです!な、なんで…ッ何があったのですかッ!?アリスに一体…ッ!!」

「落ち着くんだローズ。えぇと記事を…くそ、まだ音声が用意されてないな。読んでやるから聞くんだ」

「はい…ッお願いしますなのですッ!」

「少女の名前はアリス・ブランシュ。幼少期から国の施設で教育を受け、ブランシュ家の養子に迎えられている。その後、仮想都市パンドラボックスを構築って…おいおい、こんなんありかよ…」


しかし、パンドラへの不正アクセスによりシステムの一部を停止させ多大な被害を巻き起した。

当時、顔写真は公開されず、法的な処置を取る前に消息も途絶えていた。

アリス・ブランシュには然るべき罪を科せ、テロリストには“極刑”を求める声が広がっている。

ルカ・ベルチットと共犯と思われる“ノエル・ラヴィンソン”も一時的に保護され、目覚め次第法的処置を取る所存である。


「…あ、…な、…んで…どうして…ッ」

「ローズ、落ち着くんだ。アリスの事は何かの間違いだろうっ…こんなに小さな、お前よりいくつか上の子が…仮想都市パンドラボックスを構築するなんて…ッ!」

「ち、がうのです…ッアリスの事は…知っているのですッ。ただ…ッ…」

「どうしたんだ、え…この写真か?」


ニュースの表示された電子板の液晶をローズが指を力いっぱい丸めて、人差し指だけ伸ばす。

ローズが差す先は、アリスではなく…銀髪の、一人の少年だった。

俺と同じ真っ赤な雪兎の瞳に、色素が薄く透けて見えるほど澄んだ銀髪。

片目を包帯で覆い、青白い顔色の…お世辞でも小奇麗だとは言い難い少年。