「…キャロルさんに会わせて。ノエルにも。まだ何も終わっていないの」
「ノエルは死んだよ。彼女も死んだ。これでもう…いいだろ」
「よくないわ。ノエルはテロリストではなかった。仕立て上げられただけよ。早くしないと…冤罪で殺されてしまうわ」
「アリス」
今度は咎めるように強く名前を呼ばれ、私はその続きを彼にすることが出来なかった
ノエルは…事情はともあれ、学園テロに加担し、軍に身柄を拘束されているだろう。
私利私欲の為に国家を揺るがす犯罪は、どんな事情があっても“死刑”となる。
たとえ冤罪だったとしても、国家に害をなす存在と見なされてしまう。
「そんなの、どうだっていいだろ?君には関係のない事だ。それに…テロから2週間も経っているんだし、手遅れだよ。いつもみたいにさ、一緒に僕の部屋に帰ろうよ。また、美味しい紅茶が飲みたいな」
「…もう、そこには戻れない。私はレイに言われて…マークの人間の動向を探っていたの。貴方の部屋に居候させてもらったのも…それが理由だから。少し、一人になりたいの」
「ずっと一人にしてあげる。僕の事なんか無視すればいい。だから、帰っておいでよ。学校は休学して、美味しいもの食べて、映画を見たり、ショッピングする。身の振り方を考える時間くらい、幾らだってあるよ」
「でも。悪いわ。私…今頭の中グチャグチャで、きっと酷い事言うわ。貴方を傷つけてしまう。私はそんな自分許せない。だから…」
静止の為に置いた手のひらを、何か物想いにふける表情で掴んだカノン君。
私を引き寄せるわけじゃなく、彼から近づいて腕の中に閉じ込める。
首筋に顔をうずめて、真っ白なシャツを握った。
フワリと鼻をくすぐる清潔な香りを吸うと、自然と瞼が下りてきそうだった。
