独:Der Alte würfelt nicht.

 
 
≪無謀だと思わないかい、ヘリオドール≫

〔無謀だわ、ゴシュナイトお兄様〕

≪ドール、ヘリオドールッ!彼は見かけによらず頭が弱いのかもね、えぇと、そう言うのを何というんだっけ。君は知っている?ドール、ヘリオドール。君は知っている?≫

〔馬鹿、愚か者、怖い物知らず、冒険家。どれに当てはまるのか当てっこしましょう!〕


くるくると部屋を縦横無尽に走り回る双子は、人が倒れていても容赦なく踏みつけていく。

右胸を踏みつけられ、腕を踵で抉られ、最悪の目覚めの中で私は覚醒する。

低いうめき声を上げながら上半身に鞭を打ち立ち上がれば、双子たちが私を中心にしてダンスを始めた。

私の四方は何か見えない糸に釣られてしまい、地上から数センチ浮いた状態でダンスを強要された。


≪ドール、ヘリオドールッ!モルガが起きたよ、彼を連れて来よう!ぐずぐずのシチューになって骨までとろとろの筈だよッ!きっとモルガも喜んでくれるさっ!あははっひゃはぁぁあっ!≫

〔ふふ、おかしな事を言うのねお兄様!変ね、お兄様はいつも変ッ!!くきゃきゃっ!シチューはもう二人でお腹一杯食べてしまったでしょぉお!?アリスが起きるのが遅かったからぁ、先に食べてしまったじゃないッふふふ!〕

≪ドール、ヘリオドールッ!嗚呼、君は素晴らしいねっ!ほら、この前作ったビーンズとオウムの歌を歌おうッ!あはは、楽しいねッ!!あははははっ!!!」

〔くきゃきゃきゃきゃっ!!ッえぇ、踊りましょう歌いましょうッ!大切なお客様をお迎えしましょうッ!!ひゃッははっくきゃきゃッきゃきゃあっ!!〕


 ――狂っている…本当にこれは夢なの…!?


抉られた腕には酷い痛みが残っているというのに、無理な体勢でのポーズを強いられる。

あまりに激しく動き回り、足が縺れ何度も転びそうになるが、その度に糸がピンと張られる。

双子たちと体がぶつかりそうになると、笑い声とともに容赦なく蹴り飛ばされた。

痛みに呻き声を上げる私に味を占めたのか、足をばらされて床に転がされる。

その上を二人でワルツを踊りながら踏み散らかし、悲鳴を上げるたびに狂喜の声を上げた。